「世界青年の船」という事業を思い返した時の話。

「世界青年の船」という内閣府の事業をご存じでしょうか?

世界青年の船とは、日本の内閣府が毎年主催する青少年育成事業の一つです。18~30歳程度までの青年を対象に各都道府県から募集をかけ、世界中の参加者と船旅をする、というものです。本日は、この世界青年の船に私が参加した時の話をします。

コロナ禍になってから事業が縮小してしまったようですが、私が応募した2008年度は、国内で1週間程度研修した後、横浜で船に乗り込み、40日間くらいかけてバヌアツ、トンガ、ニュージーランドまで行き、往復するという、実に豪華な旅でした。参加者は日本人が120名、海外の参加者が12か国×10名=120名、計240名で、個性豊かな参加者が集まりました。

私は筑波大学を卒業する前、大学4年生の時に参加しました。同じ大学4年生で参加するメンバーが時間のゆとりもあり最も多かったように思いますが、半数以上は社会人の方で、仕事を辞めてこの事業に参加する人もいました。船の中では、一つの世界のように、各国が出し物をして文化交流を楽しみます。その中で、リーダーシップを育むわけで、非常に良い経験でした。ちなみに、この事業で出会い、その後結婚した同期が国際結婚含め5組?くらいいます。20人に1人がここで恋に落ち、人生のパートナーを見つけるわけで、なんとも素晴らしい事業です笑。

この船の中でどんなことがあったのか…話したいことは山ほどあるのですが、それは会合の席で話すとして、今日このブログで話をしたいことは、「自律的に行動をする人は得をする」ということです。

世界青年の船の事業のことをいつも他人に話すと「え!そんな良い機会があったの?知らなかった~。うらやましい~」という反応を示す人が多いです。冒頭で知ってますか?と聞いて、知ってる!と言ってくれた人は社内に何人いるでしょうか。自分の感覚では認知率は3%もない感覚です。知ってる!と言ってる人も、ピースボートと間違えている人がほとんどです。

この事業は、今はわかりませんが、一人当たり300-400万円くらいの税金が投入されて運営されていると当時聞きました。参加者は20万円ほどの自己負担が求められましたが、バイトで貯めることができる額です。国の税金を使って豪華客船の海外クルーズ旅行を2か月できるプログラムがあるなんて、、、なんともお得な機会ではないですか?

何が良いたいかというと、毎月、皆さんは数万円~数十万円の所得税を国に納めていて、そのお金が、こういう事業に還元されているわけですが、その事業そのものは、本来国民全体に知らされなければいけないのにも関わらず、殆どの人は知らず、一部の人に偏って分配されているという現実なのです。

実際、非常に有意義な事業だと、15年を振り返って思います。同期からは、業界の第一線で活躍する人がとても多いです。私のように起業をしている者も何人もいます。途上国開発や地方創生といったテーマで活躍する同期もいます。海外参加者では、それぞれの国で立派に活動しているメンバーもいます。リーダー育成という本来の趣旨に、10年、20年という期間で見れば、大きく社会に貢献しているといえましょう。

私は、世界青年の船以外にも、日本の代表団として中国に派遣して頂いたり、社会人になっても、G7のYouth団体員のY7のメンバーとして参加したりと、色々な事業に参加させて頂きました。経済的な金額だけで言えば、現在までに払っている所得税以上に国から支援を受けることができている一人かもしれません。

これは、「あらゆる機会を全方位でアンテナを常に張っていた、調べ尽くしていた」から得ることができた機会だと思います。本人の資質が有能である、ということではなく、純粋に好奇心が旺盛で、「いや、今、どんな機会があるのだろう?」と意識して、周囲の機会を調査するだけです。こうした経験は、本人の人生の糧となり、未来が変わるキッカケとなります。

これは別に、大規模な課外活動に限ったことではありません。例えば会社やオフィスにある福利厚生。調べれば、え!こんなお得なプランあったの!と後から気づくこともあります。あるいは、自治体もそうです。すぐ近くに実は充実した格安のコワーキングがあったり、手厚い子育て支援の制度があったりします。今現在、自分の周りに、実は自分にとって必要な、そして有益な機会と言うのは意外に転がっているものなんです。ところが、なぜか、多くの人は、それを見落とします。というか、見落とすも何も、気にする行為さえしない人も多いです。

なぜ、こうも情報に敏感な人とそうでない人が産まれるのでしょうか?

ここに、自律的・他律的という人間の行動の習慣の差によるものと私は考えます。他律的な人、というのは、言い換えると「指示待ち」なタイプの人です。指示を受けて、その通りに動く、これはこれで非常に基本的で重要な行動力ですが、それ以上の価値は産めません。人から●●あるよ!と言われた時に有益な情報は知ることができますが、それ以上は知ることができない。そこには「自ら動く」という自律的な行動の壁があるからです。

逆に、自律的な行動習慣がある人は、常に、自分の機会を考えて、それを最大化させるように動きます。これは、営業活動で言えば、顧客に対してどれだけ価値を提供できるのか、裏返せばどこまで売上を伸ばせるのか、と考えにくことと同値です。人材管理で言えば、このメンバーをどういう風に活かして羽ばたいてもらおうか、と多様な視点を持って考えることと等しいです。

私は、他律的に動くことは勿論重要ですが、自律的に動く行動習慣を身に着けた人は、そうでない人に比べて利益を享受できる、人生が豊かになるのではないか、と感じます。

是非、皆さんも、あれ、仕事とであれ、プライベートであれ、こんなチャンスあるのかな?ないのかな?と意識することから初めて見てください。