自己肯定感と自己効力感の違い

時折、社内では「自己肯定感が高いですね…低いですね…」といったことを話題にすることがあります。しかし、自己肯定感の言葉の定義が統一されていないように思え、議論する度にあれ?と思うことがありました。

自己肯定感と言う言葉自体、ここ10年で広く使われるようになったと思われ、色々なところで目にするようになりました。

これに関しては、最近、イチローさんがライブインタビューで「自己肯定感の高め方についてどうするか?」という質問に対して、「自己肯定感という言葉は気持ち悪い」「自己肯定感というより、手応えが大事」という話をされていました。

私にとっては、非常に共感する内容でした。そして、これは「自己肯定感」と「自己効力感」の違いなのだと感じました。

そこで、今日は、

  • 自己肯定感とは?
  • 自己効力感とは?
  • 自己肯定感と自己効力感は高い方が良いのか?

という点について、私なりの考えを下記の通り記載します。

自己肯定感とは?

そもそも、自己肯定感とは何でしょうか。「前向き」「ポジティブ」という言葉と同義で使っている方も多いと思います。

自己肯定感とは、その言葉の通り「ありのままの自分を肯定する感覚」のことです。他者と比較することなく、自分自身が「今の自分」を認め尊重することで生まれる感覚であり、物事を前に進めるための原動力となります。

https://mba.globis.ac.jp/careernote/1327.html

上記の記事によれば、ありのままの自分のことを認めてあげる、というような意味合いでしょうか。

「自分は正しいんだ!」という、考えが硬直的になってしまうと良くないと思いますが、「こんな弱みがあるのも自分なんだ」というように、自分の弱さを受け入れる際には良いことも多いように思います。

つまり、自己肯定感とは、自分を否定したくなるような弱みに着目した言葉だということです。

イチローさんは、言葉自体が気持ち悪い、ということでしたが、私自身は、自己否定ばかりしていても卑屈な気持ちになれないので、前向きな気持ちを持つために、弱みを受け入れる意味で自己肯定、つまり、自分の存在承認をしてあげることは大事なことかな、と考えています。

自己効力感とは?

では、自己効力感とは何でしょうか?

自己効力感とは目標達成能力を自分自身が持っていると認識することを意味します。端的に言うと「自信」です。ある状況下で結果を出すために適切な行動を選択し、かつ遂行するための能力を自らが持っているかどうか認知するための言葉です。

https://www.motivation-cloud.com/hr2048/c240

自分が「やれそうかどうか思えるか」というのが自己効力感。英語ではSelf-Efficacyと言います。

アリストル社内では、この言葉も良く使います。クライアントに対し、行動変容についての理論を説明する時には必ずと言っていいほど出てくる重要な概念です。

「今回はやることできた!次もきっとできるだろう!」

と思えるか。言い換えると「自信」と言う言葉なのかもしれません。

自己効力感は、自分の強みに着目し、エネルギーを引き出す役割の言葉なのかな、と考えています。

自己肯定感と自己効力感は高い方が良いのか?

イチローさんの言う通り、「自己肯定感」が強すぎると自分の考えを過度に正当化しているようにも見えるし、「自己効力感」が強すぎると、それは自信ではなく過信のような振る舞いになってしまう気もします。

果たして、高い方が良いのでしょうか?

すいません、答えはよくわかりません笑。

「バランスが大事」というのは答えになっているようでなっていませんよね。

しかしながら、私がどのように「自己肯定感」「自己効力感」という言葉に向き合っているかについて書きます。

私は、仕事という職場においては、「自己肯定・自己否定なんてしている暇が無い」というのが実態かもしれません。メンバーの方に怒ってしまったな…とか、プレゼンで失敗してしまったな…とか、自分の振る舞いに対して反省することは多々あります。もっとこうした方が良かったんではないか、と前向きな反省は常にしている。でも、「自分はなんてダメな人間なんだ…」なんてところまで行く前に、次のことに取り掛かっている、という感じでしょうか。そういう意味では、私は自己肯定感が高い人間なのかもしれません。

一方、「自己効力感」はとても重要視しているように感じます。難しい、一件不可能かな…と思った仕事に取り組んだ時。最初は全くわからず不安だけども、挑戦して乗り越えることができた時。「できた!次、同じようなことが来たらもっと良くできるな!」と手応えを感じる瞬間が何よりも私は好きです。仕事を通して成長実感を得たい、という根本欲求が私には強くあるのでしょう。

もちろん、最近は「アンラーニング」という言葉がある通り、過去の成功体験をそのまま引きずってはいけないことはあるでしょう。でも、過去の成功体験は自信となり、自らのオーラに繋がります。

「自己肯定感」「自己効力感」という言葉に対して、具体的なエピソードと共に振り返る作業は、「自分らしさとは何か?」を見つける良いワークだと思いました。是非、皆さんも取り組んでみてください。