Iniative:率先垂範

Aristolismの説明も終盤に差し掛かってきました。元々は、Aristol Wayとして運用していた当社のバリューですが、2024年にかけ、Aristolismに変更し、ismの3つを加えることにしました。元々は、このismは、特にマネージャー以上にのみ適用させようと考えていました。実際に出てくるismの内容は、どれも会社を牽引する人にとって、特に重要となるバリューになります。

しかしながら、どのメンバーも将来、会社を牽引して欲しいという思いから全社のバリューに適用させていくことに決めました。今日はその内の一つである「Initiative:率先垂範」について説明をします。

率先垂範とは、「自分で手本を示すこと。 人より先に立って物事を行い、模範となること。」を意味します。指導する人自ら先頭に立とう!ということで、私を含め、主に組織を牽引する立場の人に向けられた言葉になります。

私は、数多くの経営に関連する書籍を読みますが、「経営者は前線に出てはいけない」「現場を信じて任せよう」「戦略に徹し、決断するのが経営者の仕事」のような文言に出くわすことが多いです。要は、TOPに立ち、組織を牽引するのであれば、できるだけ中枢から離れず、指揮命令を徹底させ、自分は戦略策定と意思決定に集中しよう、というものです。

この意見は本当にそうだな~と思う局面も多いのですが、私は、常にそうだとは思いません。あるいは、そうあるべきではない、という私の希望する社長像なのかもしれません。普段はそれで良いと思うのですが、緊急時代や、前例が無い時、やり方さえわからない時というのは、現場のメンバーと一緒に前線に出張るのが、経営者の役目、上司の役目ではないかと思います。

このような指導者像を持つようになったのは、日本の歴史に由来するかもしれません。

影響を受けた人物に、東郷平八郎がいます。TBSの歴史列伝にその詳細が書いてあるので興味がある方は読んでもらえればと思います。東郷平八郎がその名前を世界にとどろかせたのは、日露戦争での功績です。当時最強と謳われたロシアのバルチック艦隊を、有名な東郷ターンというリスクの高い戦略で翻弄し、見事バルチック艦隊を撃破します。少し間違えれば撃破する、というこの危険な賭けを、東郷は後方から指揮するのではなく、前線で、しかも、最も危険と思われたおとりである「三笠」に乗船します。さらに、も司令室ではなく、一番危険な艦橋で指示を出し続けたと言われます。

司馬遼太郎を筆頭に、小説やドラマで、この東郷ターンのシーンは幾度となく表現されています。一番危険な戦略を描いた重宝人だからこそ、それを実行する際に自ら先頭に立った、という姿勢に、部下が心打たれ、士気高く動いたからこそ、困難な相手に打ち勝った、と言うエピソードは、武士道を貫く日本人らしい美徳でもあり、戦い方ではありませんでしょうか。

私も、会社運営の現場では同じように思います。通常時、平時の時は後方にいても良いと思います。しかしながら、ここぞという時、会社が危機だ!大変だ!という時に、後方から指示を出しているだけの社長に、果たして現場のメンバーはついていきたいと思うのでしょうか。私はそうは思いません。なんでもかんでも社長がやるべきとは思いませんが、困難な時こそ、一緒に乗り越えよう!と、真剣に一緒に解決しようとする姿勢が、私は組織のトップには必要だと信じています。

実際、前例が無い時、危機的な状況にある時、行動を起こすにはとても勇気が要るのです。むしろ、我々の様に、常にイノベーションを起こそうとしている会社は、そのような局面が日々出てきます。むしろ、行動しても失敗することの方が多いでしょう。だからこそ、部下に任せっきりになるのではなく、任せるところは任せつつ、上司も一緒に取り組む必要があります。これが、当社の考える率先垂範を掲げる意義です。

しかし、率先垂範を、メンバーの人は「頼ればいいや」と勘違いしてはいけません。率先垂範が行き過ぎると、巷で指摘されるように、メンバー職の成長機会が奪われてしまうのです。危機的な状況ほど、成長する機会でもあります。メンバー職の人こそ、勇気を持って、失敗を恐れず行動して欲しいのです。その下地が、自分がマネージャー職となり、ディレクター職となり、組織を牽引する立場になった時、必ず役立つ時が来ます。

「前例の無い時こそ勇気を持って果敢に取り組もう。その姿勢を尊重しよう。」

当社の率先垂範、是非、勇気を持って実行していきましょう。