Immediate:即断即決

Aristolism、3つ目は「Immediate:即断即決」です。

スピードが大事である、ということは良く言われることだと思いますが、実際、私の視点から、なぜそんなに大事なのか、どの程度の”Immediate”を求めているのか、ということについては、これまで十分に伝えてこれませんでした。今回は、リアルな話を交えて下記の3つの観点について説明をしていきます。

  • スピード=唯一の強み
  • 倍速経営
  • 3分以内に決断できるか否か

スピード=唯一の強み

まず、メンバーの皆さんに認識して欲しいことは、スピードというのは、我々が持つことが出来る唯一の武器だということです。

市場で我々が戦っている相手というのは、大企業だったり、資本力のあるメガベンチャーだったりします。彼らは、資金という意味では弊社の何倍もの余力があり、能力の高い高級人材も潤沢に用意して市場に参入してきます。一方、我々と言うのは、お金も無ければ人材も十分にありません。

陣地を奪い合う戦争でイメージしましょう。相手は最先端の兵器を持った数十万人の軍隊であり、我々は原始時代の盾と矛しかもっていない数人の野武士集団なわけです。要は、無謀な戦いなわけです。

こんな状況で、いかにして勝つ(=陣地を獲る)のか。

まず、我々が狙う陣地と言うのは、彼らが魅力的に思わない陣地だったりします。戦地で言えば、沼地とか、肥沃ではない土地とか、そんな場所です。経済の市場で表現するならば「ニッチな」市場だったりします。このような市場は、大手の企業は後回しにします。我々からすれば「チャンス」なわけです。この一瞬の隙に、あっという間に土地を耕して要塞を作ってしまう必要があります。どんな原始的な舞台でも、要塞を作ってしまえば、簡単には落とせません。

この「一瞬の隙に要塞を作ってしまう」スピード力、これが我々の持つ武器なわけです。何十万人といる軍隊では、指揮命令系統が整わないと統率を取れません。また、トップは前線まで目を配ることができず、どうしても効率的な運営は難しいです。実際、大企業の新規事業開発などは、3年計画などで考えることも多いです。1年目に起案して企画、2年目に開発して、3年目にようやく販売開始、というように、潤沢なリソースがあるゆえに、そのリソースを引っ張ってくる調整に時間がかかります。しかしながら、この3年の間に、外部環境も何もかも変わってしまうことがあります。市場と言うのはそれくらい目まぐるしく早く変化しております。

これに対応できるのが我々のような小さな企業の強みであり、また存在企業でもあります。

倍速経営

もう一つの観点は、毎日やりがいを持って楽しく生活を送って頂くために、スピードは大事である、ということを伝えたいです。

仕事の総量というものは、仕事の生産スピードと稼働時間で表現できます。

仕事の総量 = 仕事の生産スピード × 稼働時間

NIDEC(日本電産)の永守さんは、創業時、「人の倍働く」モーレツ経営で事業を伸ばされてきました(今は方針を転換されています)。

長時間働くことは、時に必要なことだと思いますし、競争力に繋がるのも事実です。しかしながら、私は、個人の時間を犠牲にした働き方を強く否定します。従業員の時間の犠牲の上に成果が出ても、それは持続可能な働き方ではなく、嬉しくありません。もちろん、好きでやりがいを持って長時間働いている分には良いのですが、イヤイヤで長時間労働を無理強いさせるつもりは無い、ということです。

でも、仕事の総量は担保したい。どうすれば良いか。

当社では「倍速経営」を提唱します。

つまり、普通の人の2倍の時間を働く必要は無い。でも普通の人の2倍の速度で仕事をしようぜ!それによって、圧倒的な結果をだそう!ということです。

当社では、このような背景を基に「固定残業制」や「30分1単位の会議運営」などを徹底しています。

これを実現するためには、皆さん一人一人が「もっと早く仕事を終わらせよう!」と意識し、行動を変えていけるかどうかがキーとなります。

3分以内に決断できるか否か

では、最後に、即断即決なのですが、どの程度の即断即決が理想なのでしょうか。

私は「3分以内」であると考えます。

しかし、これは、なんでもかんでも速く決断しよう!ということを伝えたいわけではありません。「Immediate:即断即決」を成立させるためには、常にスピーディに意思決定できるように情報を手元に収集しておくことが前提になります。

3分以内に決断できない場合というのは、だいだい、「決断するための情報が欠けている」「決断する勇気がない(責任が持てない)」といった理由に集約されます。後者は、私は訓練によって克服できる、トレーニングを通して個人が身に着けることができると思います。一方、前者は、個人の力では限界があり、しっかりと組織で準備をしておく必要があります。

つまり、組織として報連相を徹底することがImmediateを成立させることに繋がります。決して、個人だけのスキルではないこと、これを強調したいです。

日々の業務、特に、社外とやり取りする時には、Immediateを体現していくことが難しい局面はあるでしょう。しかし、少なくとも我々の社内で物事を遂行していく際は、この即断即決の文化を尊重しながら業務にあたって頂きたいです。