Straightforward:率直に物を言うこと

Aristolism、今回は「Straightforward:率直に物を言うこと」について、下記3つの観点から解説をします。

  • プロジェクト・アリストテレス
  • 遠慮は禁物
  • 言い方には気を付けるべき

プロジェクト・アリストテレス

かのGoogleが、社内で「生産性の高いチーム」と「生産性の低いチーム」の差は何に由来するのか、と言うことを探求するプロジェクトがかつて行われました。これが当社の社名の由来でもある「アリストテレス」をモチーフにした「プロジェクト・アリストテレス」です。

この「プロジェクト・アリストテレス」の研究結果、「心理的安全性の高いチームは、離職率が低く、ほかのメンバーが提案した多様なアイデアの活用がうまく、マネージャーから評価される機会も多く、収益性も高いことがはっきりした」のでした。

この結果を基に、最近の人事界隈での流行語である「心理的安全性」が注目されるようになりました。なお、「心理的安全性」については定義が誤解されることも多いため、下記に定義を記載しておきます。

「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語で、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義しています。メンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要なポイントです。

https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000230/

字面から、心理的安全性を「怒らない会社」と捉える人が多いように思います。私も何冊も書籍を読んで勉強をしましたが、本来の心理的安全性とは、それとは真逆に近いような状態かと思います。結構、ウッとなるようなことも、しっかりと発言できる状態を指す、ということです。

遠慮は禁物

当社では、何もGoogleの請け売りで心理的安全性を担いでいるわけではありません。

なぜ私がこれを採用したかと言うと、過去の失敗に基づいているからです。

当社は、創業当初、経営陣の間で「思っていても中々言い合わない」という状態でした。これは、ある意味お互いをリスペクトし合っていたからですし、調和という価値観を成長よりも大事にする風潮があったためでした。しかし、この「遠慮する」と言う文化は、組織運営にとっては致命的となります。詳細は省きますが、最初は小さな問題で私は気づいたとします。でも、それを敢えて見過ごすと、半年、1年という間に、大きな問題へと膨れ上がってしまうのでした。まさに、体を蝕むがんのような存在です。早期に発見出来たら、それはしっかりと取り除かないといけないのです。このような事態が、特に2019年に起き、結果的に経営危機を引き起こしました。

それ以来、私自身は、この「遠慮は禁物である」という価値観が染みつきました。

当社の特徴は、この価値観を経営陣だけではなく、メンバーとも共有していることにあると思います。所謂、忖度の否定です。

一つは、組織が階層化すると、黙っていても上下関係が産まれ、遠慮しやすくなります。私に対してもそうですし、隣の部署に対しても同じです。しかし、「会社は本当はどうするべきなのか」「顧客にとって何が正しいのか」ということについては、いつなんどきも発言して良い、と会社としては設定しています。

発言するということは勇気がいう行為だと思います。黙って見過ごす方がずっと楽だからです。空回りした発言をすると、否定されたような気持ちになると思います。あるいは、嫌われるのではないか、といった不安も出てきてもおかしくありません。しかし、これを認めないと、私も裸の王様になりやすくなってしまいますし、忖度が全ての社風が出来上がってしまいます。

だからこそ、当社では、「率直に物を言うこと」を是とし、組織のためを思って発言、行動してくれた人を賞賛するようにしています。

言い方には気を付けるべき

「率直に物を言うこと」は良しとしていますが、「なんでもかんでも思ったことを発言すること」ということを許容しているわけではありません。

「率直に物を言うこと」と言うのは、あくまで組織の成長のために必要なことは何か、という視点が前提になります。

これをはき違えてはいけません。例えば、「●●が欲しいです」という備品リクエストの発言があったとします。その発言自体は否定するものではありませんが、●●はなぜ必要なのか?●●があるとどんなメリットがあるのか?ということを同時に説明し、会社を説得して欲しいわけです。これが無いままにただ「欲しい」と言う行為は、当社のstraightforwardの精神からは外れます。

備品のリクエストはまだ軽いのですが、人間関係に関するものやネガティブなフィードバックについては注意が必要です。例えば、当該スタッフの業務が会社の期待値に至っていない場合。会社としては、本人に伝える必要があります。これを伝えない、という選択肢はありません。しかしながら、その伝え方には、配慮はしよう、ということです。あくまで、当該スタッフがいかに組織のために貢献してくれるのか、そのような視点で語っているのか、というわけで、会社の不満をそのまま伝えてはいけない、ということです。

「遠慮は禁物だけど、配慮は大事」ということです。

このStraigtforwardの精神は、和を持って貴しとなす日本人にとっては、強烈な価値観かもしれません。しかしながら、私は、組織の成長、力強いタフな組織には、必要な価値観だと信じています。特に新入社員の方は、最初は抵抗があるかもしれませんが、そういう環境なのだと思って、徐々に慣れていってほしいと思います。