組織は優秀な人だけでは成長しない

私は、隙間時間を作っては、世界中の経営者の自伝のような本を読み、成功している、大きく飛躍している会社の経営者はどんなことを考えているのかについて学ぶようにしています。

これまでの人生で、特に読み返している方は4人います。

  • 稲盛和夫さん
  • 永守重信さん
  • 孫正義さん
  • 柳井正さん

それぞれで使い分けながら、何度も読み直し、付箋を引き直しては、その都度、違った学びを感じています。

今日は、その中でも、ユニクロの柳井正さんにフォーカスを当てながら、次のことについて記載します。

テーマは「組織は評価制度についてどう向き合うべきか?」です。

社員数も10人以上になってくるタイミングで、評価制度を整えました。現在、アリストルでは、勤務態度と総評、業績評価を加味して昇給や賞与を決定しています。「評価を下す」という行為は、どうも偉そうに感じ、正直苦手です。しかし、実態として、組織に対して貢献度の差が生じてきます。これは、人数が多くなればなるほどその差は大きくなるように感じます。

元々、私は、「どうしたら全員がハイパフォーマーになれるのだろうか?」と考えていました。貢献度が高いメンバーは低いメンバーに対して当然不満を持ちますし、会社としては研修などを通して業務改善を試みないといけません。精神的にも時間的にも労力がかかります。

しかし、私の尊敬する経営者の方というのは、いずれも、そのようには考えていませんでした。私が何度も読み直す柳井さんの『一勝九敗』では、次のように書かれています。

会社組織というのは、優秀な人がいるだけで成長するわけではない。

構成員全体のバランスが大事だと思う。

優秀な人も必要だし、そうでない人も必要だ。

バランスがとれていて、初めて成長するものだ。

全員が組織全体の目標を共有化していて、しかも自立しながら仕事をしないと成長しない。

https://www.shinchosha.co.jp/book/464201/

何度もこの本は繰り返して読んでいるのですが、その時その時で経営のテーマが異なるため、日々注目することが異なります。現時点では、私はいかに強い組織を作るか、ということに関心が向いているので、この段落に目がいきました。

改めて、そうだなと思ったのは「優秀な人も、そうでない人も必要(自然にそうなるので受け入れよう)。バランスが取れて成長する」ということです。優秀な人だけで成り立っている組織というのは、ある意味属人的な作業だけで仕事が回っている状態に近い。しかし、それでは人の入れ替わりに対応できません。どんな人でも一定程度回るように仕組みを作らないといけない。このような会社の宿命に立ち向かうためには、組織の貢献度が低い人の存在が必要です。彼らでもしっかりと業務を回す基準作りに役立つからです。

違った見方をすれば、優秀かそうではないか、は評価だけの話であって、必ず相対的な評価をつける以上は、差がつく、ということです。どんなに優秀な人でも配置が換われば優秀ではない人材になってしまう可能性だってあるよ、ということです。なので、極論、自分が今、組織の中でどのような評価を下されたのかについては、そこまで気にする必要は無いのではないでしょうか。

2023年下期の評価で、思ったよりも評価が高かった人もいれば、低かった人もいると思います。会社としては、差はそれなりについているものの、全社員の一定の昇給を認めています。それは、どんな人も、その人のペースがあるから、自分なりに向き合って成長してくれたことに感謝しよう、という考えの表れだと思って頂ければと思います。

しかし、柳井さんは続けて言うわけです。「全ての社員が目標を共有していて、それぞれの人が自立して動く必要がある」ということです。私は、優秀かどうか、という他人の評価、相対的な立ち位置よりも、ここのポイントの方がずっと大事なような気がします。なぜなら、このポイントは、自分の意識と行動で変えることができる、絶対的な指針だからです。

貢献度が低い方、というのは、評価制度では多少なりとも差がついてしまうわけですから、自己肯定感が下がるのも無理はありません。でも、私として言いたいこと、そして評価面談でも常に伝えていることは、パーパス、会社の方向性に自分の思いが合致しているのであれば、目指す方向に共感し、一緒に目標を達成したいと思うなら、レベルは問わず必ず組織の中で役回りはあるということです。

直近の評価に屈せず、組織の中の自分の役回りを認識し、みんなが助け合いながら成長していこう、このような思いを全社員が持てていると、きっと組織は成長するのだと思います。