Resilience:困難からの回復

今回は、AristlismのR、「Resilience:困難からの回復」について説明をします。

「レジリエンス」という言葉について馴染が無い方も多いかもしれませんので

  • レジリエンスとは何か
  • レジリエンスをAristlismに加えた理由
  • 困難にどう向き合うかが人生を決める

という内容に分けて書いていきます。

レジリエンスとは何か

レジリエンス(Resilience)とは、英語で説明するならば

re(後ろに)+ salire(跳ねる)

という意味を指します。対義語はvulnerabiity(脆弱性)です。

よく混同される言葉に「レジスタンス(resistance)」があります。レジスタンスとは

re(反対に)+sistance(立つこと)

ですから、よく「反乱」とか「反抗」とか訳されることが多いと思います。

一方、レジリエンスとは、決して外の力に対して反抗するのではなく、外の力に対して、内なる弾力性によって外の力を跳ね返す弾力性、しなやかさを指します。

この定義の違いは経営や事業の中では非常に大事な考え方だと思います。

このレジリエンスと言う言葉は、国内では、2011年の東日本大地震発生後、急速な都市の復興開発の中で盛んに唱えられるようになったと私は感じています。

2001年の米同時多発テロ。
2011年の東日本大震災。
2020年の新型コロナウイルス。

人類は、10年に1度、想像もしていないよう自然、もしくは人的災害を経験をしています。

このような被害に対して、いかに早く回復し元に戻るのか、大学でも研究が進んでいますし、安否対応などの危機対応のサービスもここ数年で多く出てきたと思います。

レジリエンスをAristlismに加えた理由

これは、当ブログで何回も出てくる当社の軌跡である「経営危機からの回復」という原体験からきている、と言うことは従業員の皆さんには容易に想像できることでしょう。

しかし、私は「困難があっても乗り越えようぜ!」という、余りにも単調なメッセージを伝えたいわけではありません。

これには、どちらかというと、建て直した軌跡の中での「後悔」からきている側面が強いのです。

どういうことか。2020年4月に、私は、会社を立て直すと決めた時、3つの方針を定め周囲に説明をしました。

  1. 経営体制を三代表制から一代表制に変更すること
  2. オールターゲット戦略からコアターゲット戦略に切り替えること
  3. 事業領域をフィットネスではなく、モチベーションテクノロジーとして設定すること

これらの具体的な内容はまた別の機会に書きたいと思いますが、注目して頂きたいのは、この方針の実現にかかった速度です。

経営体制の変更には、10か月かかりました。最初に話を内部でしたのは2019年12月です。実際に定款を変更したのは2020年10月でした。

事業領域を変えることを社内外に宣言するため、会社名を変更しようとしました。会社名の変更は、2022年5月に実施しました。実に、構想から2年以上もかかったのでした。

この2年の間、外部環境が変わってしまい、当初の計画の実行に追いつかないことが発生しました。もし、2020年4月時点で迅速に変更しきれていれば、当社はもっともっと早く回復し、業績を伸ばすことができました。

しかし、周囲の賛同を得るために、時間をかけて対話を行いました。当然反発もあり、中々私の構想通りにはことが進まず、歯がゆい思いを感じました。

私は、一見高らかに「当社は見事に回復した」と言っていますが、実際は「本当はもっと早く回復し、より成長させることができた」というのが本音の本音です。

この後悔の念から、私は、次のような考えの境地に至りました。

当社は、今後、適切なリスクは取りつつも、安心・安全経営を心がけ、困難は避けよう。しかし、それでも予期しない問題発生はつきものである。どんな問題からも目を背けず、解決するべき道を早期に見つけよう。

これが、当社がResilienceをバリューに定めた背景です。

困難にどう向き合うかが人生を決める

レジリエンスでは、自分や会社に襲い掛かる「困難」を前提にしています。

この項目では、私からいかに「困難と向き合うか」というメッセージをお伝えします。

困難とは、自分ではコントロールできない、どうしようもできない事象もあります。

所謂、不幸ってやつです。

では、この困難、経験した方が良いでしょうか?しない方が良いでしょうか?

私は、困難は経験しないほうが良いに決まっていますが、仮に困難が自分の人生を襲い掛かった時、そんなに卑屈になる必要はないでしょう、と考えます。

会社のことを考えれば、経営危機という困難は経験しないほうが良いに決まっています。経営力が無かったから危機が発生しているわけですし、本当に優秀な経営者なら困難が発生する前にリスクを回避します。

でも、私は、この困難を乗り越えた経験を通して、非常に大切な経営観を身に着けることができたと思っており、今は感謝の気持ちさえ感じています。

大事なことは「困難にいかに向き合うか」ということだと思います。

困難への対処方法はいろいろあります。

一つは、逃げる。
一つは、戦う。
一つは、頼る。

色々な対処方法があります。私も、過去の困難への対処法を振り返れば、困難から逃げたこともあれば、無謀に戦ったこともあるし、神頼みしたことだってあります。

しかし、私は、困難から逃げた時や、自分の力で解決しようとせず、他力本願な姿勢を取った時は、非常に虚しい感情に襲われたことを覚えています。一方で、困難な事象と戦った時、たとえ解決できなかったとしても、戦った自分を誇りに思ったことを覚えています。

このような個人の体験をベースに、その人の人生を強くするか、日々の幸せを幸せとして感じることができるかどうかは、この困難との向き合い方で決まってくるのではないか、と思いました。

決して、逃げることが誤りだとは言っていません。自分を守るために、そのような行動を取ることが正解である時もあるでしょう。しかし、それが重なると、困難から逃げることが習慣、癖になってしまいます。

大事なことは、一つ一つの問題に対して、葛藤し、勇気をもって自分の行動を一つ一つ取ることです。そして、困難と向き合った自分をほめてあげて欲しいです。

次回は、AristolismのImmediate:即断即決について話をします。