Obejective:データドリブン

Aristolismの「O」は、Objective:データドリブンを指します。

今回は、当社のデータドリブンに関する方針について説明をします。

Objective vs Subjective

Objectiveとは、英語で「客観的な」という意味です。対義語はSubjectiveで、「主観的な」という意味です。

この、Objectiveですが、「個人的な感情や主観から離れた、事実に基づく評価や判断」という意味でつかわれます。なぜ大事かというと、やっぱりこれも、過去の経営の過ちに起因します。

会社の創業当初は、転がっている市場のデータ、色々な専門家の意見などがあるにも関わらず、十分に取り込まずにプロジェクトを進めてしまいました。創造的な活動を行う場合、ある程度やみくもに進む行動力は必要です。しかし、データは道標であり、決して無視してはいけません。当時は余りにも無視しすぎたように思います。その結果、会社の統率が十分に取れていなかったこともありますが、プロダクトやコンテンツの開発に無駄が生じたり、市場のニーズから離れたものが産まれてしまう時期がありました。

データを見ると、自分の想像や常識から離れたユーザーの使い方をしている人が多いことに気づかされることが多いです。実は自分はマイノリティだった、みたいなことが、様々な局面で出くわすことが多いのです。

これらの経験から、当社は、何事も、個人の主観的な意見なのか?それともデータから見える客観的な事実なのか?ということを冷静に問い直すようになりました。プロダクト開発に限らず、全てのフェーズにおいて、データを血眼になって見る癖が社内に根付きました。

これからのビジネス人材に求められる能力

当社の組織としてユニークなのは、このデータに関して独立したチーム「データ戦略部」が存在することです。当社のパーパスである「意識を変え、行動を変え、未来を変える」ために、行動データを探求する活動をMotivation Intelligence Labとして行っています

しかしながら、データ戦略部だけがデータを取り扱うわけではなく、私は、全ての社員がデータドリブンな思考を身に着けてほしい、それが当社で働いて頂く価値だと思っています。そこで、ここでは、データを取り巻く能力について説明をします。

データを取り巻く能力は、主に3つの能力に分かれます。

  • データを抽出する能力
  • データを分析する能力
  • データを解釈する能力

データを抽出する能力とは、データベースから必要となるデータを引っ張り出し、整形する能力です。所謂、データエンジニアリングです。この前工程によって分析も意味解釈も変わってくるため、データを扱う最もファンダメンタルなスキルです。最近は、ノーコードでデータを抽出できるツールも多いですが、どうしてもそういったツールでは限界があります。私は、当社の社員には、最低限のSQLのスキルは身に着けてほしいと思います。履歴書にも書けますので、当社を仮に卒業することになっても活きるスキルになるはずです。

データを分析する能力とは、抽出したデータをグラフなどに落とし込み、関係性を提示する力です。何も、複雑な数理モデルを理解して欲しいとは思いません。しかしながら、高校数学で学ぶレベルの統計用語、統計検定で言うところの3級レベルについては、誰もが使いこなせるようにはなって欲しいと考えます。なぜなら、この統計は、日本語の様に社内の共通言語になるからです。中央値は何ですか?標準偏差はなんですか?といった会話は、現状少ないように思います。このような統計用語が社内の基本用語で出てくると、誰もが正しく事象を捉えるようになると思います。

データを解釈する能力とは、分析したデータの意味を読み取り、施策に反映する力です。残念ながら、この能力は一朝一夕では身に付かず、また、かなり高度な能力だと思います。社内にも、このレベルにある人材と言うのはそう多くありません。このデータを解釈する力は、AIにも置き換わりにくい、人間の創造的な能力、当社としての競争力だとも言えます。XXとYYが相関関係が高い、●●のポイントについては偏りが大きい、といった分析結果までは誰もが到達できます。しかしながら、ということは、「■■のユーザーは△△を求めているのではないか」というように、分析結果を事業仮説やプロダクトの改善する方向に転化していくことは容易ではありません。複数の分析結果を俯瞰的に見て、かつ様々な科学的な理論、エビデンス、知識を融合しないと中々出てきません。ここがデータドリブンの神髄であり、代替性の効かない当社が得意とするところでもあります。

このように、データドリブンは当社の根源的な価値であり、競争力であります。2023年はできませんでしたが、2024年は、全社のデータに関するリテラシー、能力向上については取り組んでいきます。