会社は家族主義であるべきなのか?

よく、経営学の書籍や、経営者の哲学や自伝を読んでいると、会社と従業員の向き合い方について言及されていることがあります。

会社の従業員は家族のように接するべきである。

会社の従業員は、時間を所属する組織のために貢いでいるのだから、組織は当該従業員を家族のように接するべきである。自分の子供や兄弟と接するように、深く、密に接するべきである、という意見があります。一方で、

会社は家族ではない。ビジョンの達成、及び利益を出すという営利活動を目的に集まった集団である。従業員を家族のように接してはいけない。

という意見もあります。会社はプロ野球団の様に、優勝という目的のために集まった集団である。いわば、従業員はプロ野球選手のような存在である。結果を出すために集まっているわけであり、それ以外については余計なことであるから、家族主義のようなプライベートまで面倒を見るような考えは不要である、というものです。

会社と従業員を家族の様にとらえるのか、それともチームの様にとらえるのか、というのは、それぞれの会社で特色が出るものであり、社風として現れるものでしょう。

実際に、その対応に差が出るのは、例えば次のようなシーンだと思います。

  • 従業員の家族に危篤になってしまった。明日が山場であるが、当該従業員にしかできない大きな契約に向けた最終プレゼンと重なっているがどうすべきか。
  • 従業員の家族にも福利厚生の機会を与えるべきか。例えば、年に一度のファミリーパーティを開催し、会社の従業員の家族も呼んで労う機会を作る、など。
  • 従業員の誕生日を会社で祝い、記念品を贈呈するべきか。

どれも、絶対に●●が正しい、というものは無いでしょう。しかしながら、その対応の方針の違いには価値観が出るため、会社の特徴が強く出ると感じます。

では、当社はどうでしょうか?

私も他社の事情をどこまで知っているかはわかりませんが、基本的には「会社は目的を達成するために集まったメンバーの集まりである」ということを据えたいと考えています。従業員の存在は大事ですが、家族にありがちな無慈悲の愛を提供する場ではありません。弊社ではパーパスという存在意義のもと事業を興し、従業員にとっては事業を通した価値創造を行う場が会社です。そこには、必要以上にウェットな関係にも無ければ、「切っても切れない縁」というものは存在しません。

したがって、当社では、他の会社と比べると、ドライな印象を受けるかもしれません。会社全体では会合は少ないですし、そこまで他人に干渉することもないです。ファミリーデーのようなイベントも、やりたいな!と考えたことがありますが、家族構成も様々ですので、これまでは特別なことはしてきませんでした。それよりも、本人の努力や貢献に応じて報い、それぞれのプライベートを充実させてほしい、と考えてきました。

しかしながら、家族主義を全く否定するか?というと、そうでは無く、一部一部で家族主義的な考えを取り入れていることはあります。一つは当社のValueの一つである”Straightforward”の文かです。家族だと思うからこそ、思い切って物を言える、ってことありますよね。例えばお父さんが会社の社長でどんなに偉くても、娘からしたら一人の父親。娘は父親に対して物事を言うことができますよね。このように、率直に物ごとを伝える、というのは長期的な関係、企業の成長を考える上では重要な要素であり、チーム主義では中々生まれないと感じます。チーム主義が過ぎると、それは傭兵集団であり、想いが入らない場合があります。愛を持って本気で接すること。本気で怒り、本気で喜ぶ。共に悩み、共に乗り越える。これは当社の家族主義的な一面であり、誇りに思うポイントです。

会社と従業員には適切な距離感が大事ですが、結ばれる線は家族の様に太くありたい。これが私が考える理想の組織です。