マーケティングは本屋で学べ #4 

#3までは、本屋全体に焦点をあててマーケティングの説明をしていきましたが、#4と#5では、よりミクロに、本そのものに注目していきます。本屋の店主がどんなに呼び込みを買っても、本そのものに魅力が無ければ売れませんよね。逆に本が大ベストセラーになれば、どこの本屋でも売れますよね。ここでは、本屋と本の役割を考察していきながら、「メディア」と「クリエイティブコンテンツ」の関係を説明していきます。

本屋と本の当たり前の関係

当たり前ですが、本屋は本を売る場所です。つまり、本=商品で、本屋=場所です。ここで大事なのは、本屋と本は相互依存関係にある、ということに気づくことです。本屋に本が無かったら、売れません。新しい本が次々に出てもらわないと、お客さんはきてくれません。常に、ターゲットや話題の本を並べておく必要があります。逆に、本は買ってもらう場所が必要です。八百屋においてもらうわけにはいきません。八百屋は野菜を売る場所だからです。お客様は本を買いに本屋に来るわけで、野菜を買いに来るわけでも、ケーキを買いに来るわけでもありません。

当たり前のことばかり!と思われるかもしれませんが、活きたマーケティングを学ぶ上では、極めて重要な視点です。

人が集まる場所=メディア

なぜドラッグストアがあり、本屋があり、八百屋があり、花屋があるのか。花屋で本を売っても、効率が悪いです。本屋は本を売ります!と言っているから、人々にそう認識されているから、本を買う人、本を買ってもいいかな~と思う人が集まるのです。

この『人が集まる』というのがポイントなのですが、Webマーケティング上で、私なりの勝手な定義で恐縮ですが、『人が集まるもの・場所・こと=メディア』とさせて頂きます。そして、本屋でいうところの本、これを『クリエイティブコンテンツ(以下コンテンツ)』と定義しましょう。言わずもがな、「メディア」と「コンテンツ」は相互依存関係にあります。

webサイトを考えましょう。『マーケティングの法則』というサイトを立ち上げたとすれば、マーケティングに関心のある人が来ることを想定できるわけです。ただ、箱だけ作っても来るわけがない。『マーケティングの法則』という内容に沿った記事=コンテンツを読みに来たわけです。サイトの運営主は記事を書かなければいけません。一方、この記事のような「マーケティング10の法則」というものがあっても、適切なサイトに置かないと、読まれにくいのは事実でしょう。現在、自分のnoteは趣味的な範囲で書いているので、きっと見てくれる人は自分の周りにいる人が多い。本当に届けたい人に届ける適切な箱とは言えないのです。メディアはコンテンツがあって、コンテンツはメディアがあって初めて花開く存在であり、お互いに助け合っています。

メディアとコンテンツの関係の中にコミュニケーションがある

本屋と本の関係はコミュニケーションのプロセスでもある、ということを伝えておきたいと思います。本屋に行く→ビジネス書籍のコーナーにいく→自分の欲しい本のタイトルが並んでいる→手に取ってみる→買うという一連のプロセス(ファネル)の中で、少しでもずれていたら、本を買うという最終目的には到達しません。例えば、ビジネス書籍のコーナーで健康本を並べていたら、全くもって意味ないですよね。

コミュニケーション≒会話のキャッチボールと捉えて考えると良いでしょう。

客  :「マーケティングの本を探しているのですが…」

本屋 :「4Fの右奥にあります」

客  :「マーケティングの教科書を探しているのですが…」

本屋 :「上から2番目の理論書のコーナーにあります」

客  :「コトラーの本を探しているのですが…」

本屋 :「右から著者のあいうえお順に並んでいます」

というように。買い手と売り手の会話のキャッチボールを商業活動の中で実践すること、市場と顧客の会話、価値のコミュニケーションをスムーズに行うように理解していくプロセス、これこそがマーケティングの本質ではないかと思います。