マーケティングは本屋で学べ #2

#1 では、「本屋で本を探す行為」とは、デジタルの世界で言えば「ネットで情報を探す行為」であることと同値である、従って本屋を研究するのがWebマーケティングを理解するのに近道である、と述べました。また、情報を探す行動には下記の3パターンがあり、それぞれに応じて売る本も違ってくるよね、という話をしました。

今回は、複数の本屋を訪れて比較することで、各店舗の戦略の違いから「ターゲティング」という概念について考えていきます。

小さな本屋がオススメ

自分のオススメは、山手線のハブ駅前にあるような大きな本屋よりも、郊外の駅前にあるような小さな本屋を中心に考えるのがオススメです。できれば2つ以上の本屋を比べて眺めてみるのが良いと思います。大きな本屋は規模の経済と言いますか「品揃え重視」みたいなところがあり、今回の「ターゲティング」というテーマからは最適ではありません。逆に、小さな本屋は幾つか違う町で巡ってみると、それぞれの本屋の特徴が出ていて気付きも多いと思います。

本屋をめぐる時、次のことを気にしながら店舗を眺めてみましょう。

・どんな人が来ているのか?

・どんな本を置いているのか?

・どんなレイアウトか?

また、当たり前のことなんですが、本屋の仕事は「本を売ること」です。ボランティアでやっているわけでもなければ趣味やっているわけでもありません。何を言ってるのか…と思うかもしれませんが、「本を買ってもらうためにどんな工夫をしているのか?」ということを前提に読むのが良いでしょう。

狭い店舗空間では選択と集中の決断が迫られる

自分の家の近く(東横線沿線)の本屋のケースで、具体的に考えてみます。この本屋は、駅から徒歩1分に立地し、小さな2階建てでした。ドアを開けてすぐ右側がレジ、左側は雑誌コーナーで最新の週刊誌、月刊誌が並んでいて、右奥にビジネス書籍、左奥に健康関連の書籍、真ん中に小説や文庫、中奥に学習参考書が並んでいました。2階は全部漫画やライトノベルのコーナーでした。

店舗という空間は限られているため、必然的に、置ける本の量というのは、店舗の広さに依存してしまいます。従って、本屋の店主は、置く本屋を取捨選択する必要があります。いわゆる「選択と集中」です。

マーケティングに関心のある方がこのnoteの記事を読んでくださっていると思うので、ビジネス書籍のカテゴリーで考えます。ビジネス書籍の場合、ジャンルは様々ありますよね。

・経営戦略

・マーケティング

・ファイナンス

・人事/組織構築

・経営者の自伝

・コーチング

などなど。

ここの本屋では、「新入社員は〇〇だけ出来ればよい!」「できる人が20代に必ずやる習慣50」というような新人研修向けの本は少なく、「部長の心得」「リーダーになった時の心得10」というような管理職向けの本が比較的スペースとして割かれていました。ここから、この駅で本に立ち寄るビジネス層は、管理職が40~50代の人が多いだろう、と推察されます。

また、ビジネス書籍のすぐ左のコーナーに中学受験関連の本が並び、奥の学習参考書へと続いています。何となく意識の高い管理職の方が立ち寄った人が子供の教育に関連した本を買うかも…ということを狙っているのでしょう。気づけば、この本のすぐ横には学習塾が幾つかあり、小学生が非常に多く通っています。ここから、(少なくともビジネス書籍については)40-50代で中学受験を控える小学生の子供を持つ高年収層、管理職層がこの本屋のメインターゲットであることがわかりました。

本屋のレイアウトを3階層で考える

ビジネス書籍のコーナーからこの本屋のコアターゲットの像が浮かび上がりました。マーケティングではこのような具体的なプロフィールをペルソナと言ったりします。では、具体的なコアユーザーが理解できたところでもう一度入り口から振り返ってみてみましょう。

入ってすぐの入り口には、話題の関連書籍が並んでいますが、ここでは、いわゆる健康本や小説よりも、ビジネス書籍のベストセラーのスペースが広く並んでいました。また、情報誌も、LEONや車の雑誌、東洋経済など、比較的中高年の男性が読みそうな本が充実していました。ここから、コアのターゲットユーザーが〇〇の本を買おう!と、ターゲットの顧客が指名して買いそうな本を店頭に置きつつ、無関心層が空いている時間にふらっと読めそうな週刊誌/情報誌(比較的広範囲の情報)を店舗の入り口から近くに置いていることがわかります。逆に、関心層などの特定の目的がある人を店の奥に誘導させるような仕組みが見てとれました。

自分のWebサイトを町の小さな本屋として考えてみる

それでは、自分のWebサイトを立ち上げることを考えてみましょう。本屋の店舗面積が限られているように、自分でWebサイトを立ち上げる時も、自分で記事を書くことができるリソースは限られているわけです。その時、

・誰がサイトを訪れるのか?

・どんな記事を読むのか?

・どんなサイト構成にするのか?

と考えていきましょう。

Webサイトの立ち上げだけではなく、Eコマースや広告プロモーションでも同じことが言えます。Web広告プロモーションなら、目的はその商材の購入になるでしょう。では、どんなところに広告を出せばいいのか。それを考えるには、

・どんな人が購入しているのか?

・どんな情報に関心があるのか?

・どんなサイトを見ているのか?

このように考えていくことで、精度の良いターゲティング戦略が出来上がっていきます。

以上、#2では、本屋を眺めることでターゲティング戦略が浮かび上がってくる、ということをお伝えしました。次回は、本屋に入ってから買うまでの「流れ」に注目して考えていきます。