インバウンド消費10兆円を目指すには何が必要か?

株価に次いで、日本経済に明るいニュースが舞い込んできた。

訪日客の消費が新型コロナウイルス禍前を超えた。17日公表の2023年訪日客の旅行消費額は計5兆2923億円で過去最高だった。同年の訪日客数は2506万人でコロナ禍前の2019年の8割に回復した。消費の目的別では宿泊費が最も多く、買い物よりも体験を重視する傾向が強まっている。企業は戦略転換を急いでいる。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170F20X10C24A1000000/

アリストルのコンサルティング事業では、顧客企業にDMOを抱えており、インバウンドマーケティングに関する業務を徐々に増えています。2023年単月の訪日外国人観光客の動向は9月頃で既にコロナ前を超えていたので、ニュース自体には驚きませんでした。

実際、仕事で渋谷、京都、大阪を行き来していますが、外国人観光客の人手が凄い凄い。

ちょっと大げさかもしれないが、私は、5兆円どころか、10兆円も今後10年以内に目指せるのではないか、とさえ思っている。では、10兆円を目指すのに何が必要か。多様な意見もあろうが、個人の私見を下記の通り書いてみたい。

全国に城を再建する

インバウンドマーケティングで感じたことがある。2022年5月、まだコロナの影響があり観光客数は回復していなかった頃、京都で一月ほど仕事をしていました。その時、どこも閑散としていて、外国人の方をお目にかかることは少なかったのですが、TripAdvisorの常にTop3に入る居合切り体験の前を偶々通りかかったところ、長蛇の列でした。

この時、思いました。

あ、日本に期待しているのは、開国前の、江戸時代の侍の頃の文化なんだなと。映画に出てくる、サムライ、ハラキリ、チャンバラ。こういう異世界へ、タイムスリップしたかのような体験を求めている。先進的な技術が進めば進むほど、逆にレトロな価値が高まっている。

だからこそ私は思うのですが、日本式の城を全国に再建したら良いと思う。建設費や維持費など、全く費用面は無視した発言だが、例えば東京。皇居も「江戸城跡」となっているのは何とも寂しいでは無いか。大阪は大阪城がシンボルとしてある。姫路城はとてつもなく壮大だ。大好きな山口の萩も「萩城跡」である。これは悲しい。全国に、城の跡では人が寄り付かない。

日本式家屋の税制優遇

京都を歩いていて感じるのは、実に惜しい、ということだ。

祇園の町屋が並ぶ通りを見ると、タイムスリップしたかのように感じるけれど、少し離れると、どこにでもあるマンションやビルが立ち並んでしまう。それもそれで、日本の風景だし、自由はあるわけで、簡単には否定はできない。

都会はやっぱりアーバンライフ。未来にあふれるTokyoは、豪華な設備が整ったタワマンに溢れるのは致し方無い。でも、観光地で産業を形づくるところは、思い切って、建設規制を強化するなどし、風景を100年、200年先を見据えて整えることはできないだろうか。

イタリアでは、建築に大幅な規制をかけているという。

日本では、合掌造などがそれに近いと思うけれど、イタリアに比べたら小規模なものだ。私は、より広範囲、区や市全体くらいの規模で、思い切って江戸時代のライフを再現するくらいの空間を作っても良いのではないか(それを望む人がいないと成立しないわけだけど)。

アメリカにも、アーミッシュという、敢えて中世の生活を好む人がいて、その暮らしぶりが観光地化したりもしている。出入りが自由な、でも伝統文化を活かした生活を送る仕組みが作れないものだろうか。

出国税、宿泊税の強化

上記施策をやるにも、どうやって財源を作るの…という話もあろう。

思い切って、現在の出国税や宿泊税を強化しても良いのではないだろうか。

国税庁のウェブサイトによれば、現在は出国する時に海外観光客に対し、航空券に1,000円上乗せする形で運用しているようだ。

しかし、知っているだろうか。決して1,000円というのは高い金額ではない。イギリスは、世界で最も高い出国税を取ると言われており、2019年頃に書かれたこの記事によれば、78GBP、今のレートだと、およそ15,000円徴収される。まさにディズニーランドの気分だろう。

そこまで取って欲しい、とは思わないが、1,000円は安すぎるのではないだろうか。仮に3倍にしたとて、今の円安からすれば、それで観光客が減るようなレベルではない。

日本の社会保険や所得税、消費税に目を向けるのも良いが、インバウンドマーケティングに目を付けた税制改革も、今後の成長には必要不可欠だろう。