国際学会での発表について

今週末から、当社とは初めて、データサイエンスの知見を論文にまとめ国際学会に発表するため、海外出張に行きます。思い返すと、実に4年ぶりの海外出張になります。社員の皆さんには、どうして海外での学会に発表するのか?それはどんな事業上のインパクトがあるのか?と思う方がいてもおかしくありません。そこで、本日は、なぜ我々がアカデミア上でも活動をするのかをお伝えします。

新しいビジネスモデルを産み出すと、新しいデータを取得でき、未知の領域が既知になる

2018年に会社を創業した年は、人生の中でもクリエイティブな時期でした。世の中には無いビジネスモデルを作ろうとすると、開発側も前例のないことにぶち当たるだけではなく、契約書も前例が無く、考えたことをドキュメントや仕様に落とす作業は極めて創造的で楽しかったです。

実際にプロダクトをローンチしてから気づくのですが、サービスをして取得できたデータは、どの会社にも無いデータだったりして、それが毎日数百人と新しいサンプルが溜まっていきます。つまり、ビジネスを通しながら、仮説検証できるフィールドにあるのだ!と、改めて気づいたときに、私の中での探求心が芽生えました。

私自身は、別に勉強が好きなわけではないのですが、研究することは昔から好きでした。勉強と研究の違いは、勉強とは過去の既知の情報をトレースする行為に対して、研究とは世の中の未知の課題を解決する行為です。研究という活動は、私から言わせてみれば、イノベーションを起こすベンチャーの起業と通じるところがあります。

Beatfitというプロダクトでは、「いかに利用率を高めるか?」ということが日々の課題でした。そこで、利用率が高い、利用時間が長いユーザーの行動データを一人一人見て、そこから仮説を立て、コンテンツの提示方法についてアルゴリズムを考えたり、アプリの操作UIを考案したりしました。実際に開発して実装して動かし、仮説通りに利用率や利用時間を改善させることに成功させた時、この改善プロセスこそが当社の競争力であり、社会にとっての当社の存在意義である、と感じました。

そこで留めておく、利益を産み出したままにするのが普通の企業だと思うのですが、私は、どうしてもそこで終えたくはありませんでした。なぜなら、当社が向き合っている課題は日本の超高齢社会における社会課題であり、我々が血眼になって取り組み得た知見は社会的な意義がとても高いのではないか、そして世の中に弊社の知見を還元するべきではないか、と考えたからです。このような話を、私が卒業した東京大学工学系研究科技術経営戦略学専攻の田中謙司先生に相談したところ、是非アカデミアに還元しよう、という話になり、現在は私も研究員という立場を頂きながら、この度、晴れてInternational Society of Transdisciplinary Engineeringが主催する学会TE2023に論文を2本提出しました。

すなわち、学会への活動は単なる趣味的な活動では全くなく、当社のパーパス「意識を変え、行動を変え、未来を変える。」の下に育まれた事業競争力を証明すると共に社会的な知の還元という意味を持っています。また、これを体現する組織が、当社のデータ戦略部です。事業部とは独立したデータサイエンスチームを備えているのは、そのためです。

我々は、世界中から人間の行動に関する理論やデータを取り集め、また、我々が事業を通して得た知見を世界に対して情報を発信していきます。

それでは、海外出張は責任を持って楽しんでいきます。

報告をお楽しみにお待ちください。